地盤ネット

メニュー

SPECIAL INTERVIEW

これから求められる安全・安心は、
「いい地盤」の価値を知ることから。

地盤ネットホールディングス株式会社
代表取締役社長山本 強

株式会社西武ホールディングス
代表取締役社長後藤 高志

11月28日は、「いい地盤の日」。土地の由来や地盤の正しい知識を持つことで、地震や水害などの被害を最小限に抑えられることから、安心して生活できる住環境について考える機会を持ってもらうことを目的に登録されました。

この日にちなみ、地盤ネットホールディングスは2018年11月28日に第1回「いい地盤アワード」を開催。災害大国日本において「災害は忘れた頃にやってくる」という警告を改めて考えるきっかけとなるよう制定された本アワード。「安全な場所に住むことが重要」という理念に基づき、大賞を受賞したのが西武鉄道株式会社様(埼玉県所沢市)です。詳細な地盤調査結果と、地歴や災害履歴など40項目以上の地盤情報を組み合わせた地盤ネット独自のツール「地盤安心マップ®PRO」のデータから、「首都圏の鉄道路線の中で最も地盤がいい路線」であると評価されました。さらに、西武鉄道沿線は歴史的に見ても災害に強い地盤であることがわかってきました。

そして今回、地盤の重要性を知る2社のトップ対談が実現。それぞれの立場から、「いい地盤が持つ価値」やこれからの土地選びについて語り合いました。

地盤のよさは、
これからのセールスポイントになる。

後藤:地盤ネットを知ったきっかけは、2018年10月に見たテレビのニュース番組です。地盤ネットの方が出演され、首都圏5路線の中で西武鉄道沿線がもっとも安全な地盤であると紹介されていました。
私の自宅は西武鉄道新宿線の沿線にあります。長年住んでいると、やはり非常に地盤がいいというのは実感していましたし、安全性の高さを西武鉄道のセールスポイントにできないかと、社長就任当時から役員に話していました。日本初の飛行場ができたのも所沢(現在の所沢航空記念公園)ですし、その隣には国土交通省の管制センターがあります。ほかにも、航空自衛隊入間基地や米軍の横田基地など重要な施設が西武鉄道沿線に集中しているのは、やはり地盤が固いからではと思っていました。

山本:いわゆる武蔵野台地ですね。「地盤安心マップ®PRO」でも評価が高いエリアです。

後藤:こうした地盤のよさをぜひアピールしたいと考えていたときに、さきほどのニュース番組を見て、大変関心を持ちました。その後、11月28日の「いい地盤の日アワード」で西武鉄道が表彰を受けることになり、本当に良いタイミングでした。
これからの東京や首都圏、ひいては日本にとって、「安全・安心」はキーワードになると思っています。安全を提供するのは我々、安心を感じていただくのはお客さま。住まいを決めるという大きな決断をされる方々に、安全・安心をアピールしていきたいですね。

山本:それに、地盤が固いということは、それだけローコストで建てられるということですから。例えば、丸の内や大手町、あるいは品川や田町の海側など、もともと海だった地域は、固い地盤(支持層)に到達するまでに相当掘らなくてはいけないし、その分コストもかかる。一方、西武鉄道沿線は、まず地盤にかかるコストが安く抑えられます。例えば、都心からほぼ同心円上にある利便性も似ている街を比較すると、西武鉄道沿線なら地価が比較的安く、しかも地盤がいいからコストをかけず安全に暮らせます。

安心な暮らしは、
安全な「いい地盤」選びからはじまる。

山本:1923年の関東大震災からもうすぐ100年となります。最近も、大規模水害時は「ここにいてはダメです」と言い切った江戸川区のハザードマップが話題になるなど、暮らしの安全に対する関心が非常に高まっています。人々がどこに住めばいいか考えはじめた今、「安全な場所」があることを示すことができれば、不動産業界にも相当な動きが出てくるはずです。住宅を移転した利便性の高い場所は商業地として使えばいい。「安全」を軸とした大移動を本気でやりたいと思っているんです。

後藤:政府の予測では、これから30年のうちに首都直下地震が70%の確率で起きるそうです。また、南海トラフ地震が起きる可能性も指摘されています。

山本:地震に対するリスクの大小によって、財産価値もずいぶん変わるでしょう。現状では、地盤が固く何百年、何千年と耐えられる安全な土地が非常に安い。一方で、地価が高くても5年先、10年先に液状化被害で価値を失う場所もあります。

後藤:駅からの距離だけではなく、地盤に着目した新たな価値基準があっても良いかもしれませんね。

「いい地盤」を選ぶことが、
人生のよい選択につながる。

山本:地盤ネットでは、これまでに約30万件の地盤調査を行い、安全と判定された場所には20年間の地盤補償を付けています。そして、万が一不同沈下が発生した場合には補償する。これは調査・解析の信頼性が高いからこそできることであり、事実、東日本大震災でも、いい地盤だと判定された場所では不同沈下が発生しませんでした。

後藤:では、地盤が固い西武鉄道沿線も、地盤補償の対象になるというわけですか。

山本:もちろんです。補償の条件として、地盤のよさと、建物の基礎構造で判断しています。さきほどお話に出たように、コストをかけずに補償しやすいのが西武鉄道沿線です。
また、我々はより地盤リスクの低いエリアへの住み替えも推進しています。例えば、地価が高くて地盤リスクも高いエリアから、地価が下がり安全性が上がるエリアへ移動すると、コストの面でお金が余る計算になる。よくある「安全をお金で買う」とは逆の発想で、こんないい話はないと思っています。

後藤:東日本大震災のとき、液状化で苦労された地域もありましたが、西武鉄道沿線ではほとんど聞きませんでした。東日本大震災のあと、首都圏で最初に復旧した大手鉄道会社は西武鉄道でした。翌日の新聞には、読者から西武鉄道への感謝のことばが数多く掲載されました。

山本:BCP*の観点からも、企業は事務所を安全な場所に構えるべきですね。

後藤:2019年4月開業の大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」は、BCP対策のほか、約72時間分の非常電源を備えるなど帰宅難民を受け入れる体制も整えています。建物の構造としては、ダイヤゲートの由来でもあるダイヤグラムを模したブレースで耐震性を高めており、3階は免震フロアです。先日、大きな地震が東京で起きましたが、18階でもまったく揺れを感じませんでした。

山本:それはいいですね。駅は低地にあることが多くあまりいい場所にないのですが、ダイヤゲート池袋は地盤がよく、希少価値があります。西武鉄道は、沿線の駅だけでなく、ホテルなどの評価も圧倒的に高かった。ここにも、地盤のいい場所に建てるというコンセプトが伺えます。

後藤:おかげさまで西武グループの施設は、地盤が固いところが多い。高輪や品川も高評価をいただきましたが、これはかつて海だった場所ではなく、陸地だった場所にあるからでしょうか。

山本:おっしゃる通りです。今でこそ同じように見えますが、陸側のいい地盤と海を埋め立てた場所では安全性がまったく違います。

後藤:このように客観的なデータを示していただけると、大変ありがたいです。

*BCP(事業継続計画):自然災害やテロ攻撃などの緊急事態でも重要な事業を継続できるように、方法、手段などを取り決めておく計画のこと。

JIBANGOO®を通して、
新たな不動産価値を創造したい。

山本:時代の流れを考えると、これからますます海外から来る人が増えますね。

後藤:特に欧米人は地震の経験がないから、日本に来て地震にあうと大変な恐怖心を感じると聞きます。

山本:海外から来た方にも「いい地盤は安全」であることを知ってもらえるよう、スマートフォンアプリを開発しました。「じぶんの地盤」というのですが、今いる場所の地盤の安全性を「点数」で表示することができ、9ヶ国語に対応しています。

後藤:それはすごいですね!このアプリは誰でも使えるんですか?

山本:はい、ダウンロードも無料なので、いろんな方に使っていただきたいですね。

後藤:この「点数」というのは、どうやって出しているんですか?

山本:実はこれ、国や公的機関が出している4種類のデータと、我々が毎日約200件ずつ蓄積している地盤調査のデータから算出しています。このアプリなどをきっかけに、地震大国・日本の中にも、安全な地盤とリスクのある地盤がある。その事実を、このアプリをはじめ、国内外問わず多くの方に知っていただき、いずれは不動産の価値に影響させたいと考えています。

後藤:このほかにも、地盤ネットは安全な場所へ移住するための情報を発信されていますね。

山本:安全な場所に住みたい方のための不動産サイト「JIBANGOO®(ジバングー)」を展開しています。ここに掲載されているのは、「いい地盤」の条件をクリアした物件だけなのですが、この基準がなかなか厳しく、宅地全体の3割ほどしかありません。「ジバングー」で見つかる物件に希少価値があることを、もっと多くの方にアピールしていきたいですね。

後藤:私が御社を知ったのはテレビのニュース番組でしたが、反響はいかがですか。

山本:ビジネスとして堅調になってきた手ごたえはあります。また、西武鉄道沿線の大手デベロッパーから、広告に「いい地盤ランキング」を使いたいとお声を掛けていただくこともありました。ただ、地盤調査・解析を本業とする我々にとって、不動産業界はかなり大きなマーケットであり目標となりますので、まだまだやれることはあると思っています。これからいろんな企画に取り組んでいこうと考えています。

後藤:我々西武グループとしても、御社とのご縁を大切にしていきたいし、お互いWIN-WINの関係を築きたいと思います。

山本:ぜひ幅広くアプローチして、「ジバングー」にいい物件をたくさん集め、より多くの方に安全な場所に住む価値をお届けしていきたいです。