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SPECIAL INTERVIEW

微動探査システム「地震eye®」が、
日本中の「地盤の揺れやすさ」を見える化する!

地盤ネットホールディングス株式会社 代表取締役 山本強

国立研究開発法人 防災科学技術研究所 社会防災システム研究部門 兼 レジリエント防災・減災研究推進センター 主幹研究員/博士(工学) 先名重樹

  • 地盤ネットホールディングス株式会社
    代表取締役

    山本 強

    やまもと つよし/2008年、「消費者の不利益解消」という立場から「地盤改良工事を行わない地盤解析専門会社」地盤ネット株式会社を設立。「地盤セカンドオピニオン®」をはじめとした各種サービスを展開し、業界に革命を起こしてきた。2018年、住宅事業に本格参入し「地震に強い家づくり」の実現をめざす。

  • 国立研究開発法人 防災科学技術研究所 社会防災システム研究部門 兼 レジリエント防災・減災研究推進センター 主幹研究員/博士(工学)

    先名 重樹

    せんな しげき/専門分野は、地震学、地震工学、地盤工学。地盤と地震をテーマに、より精度の高い防災システム構築を研究。「振動のことは振動で知る」の考え方に立ち、微動探査と地質構造を関連付けた揺れやすさマップを作成するなど、地域防災や日本発の技術の世界標準化など様々な方面で重要な役割を果たしている。

全国100万ヵ所以上の微動探査データで
地震被害の予測精度を高め、地域防災に大きく貢献!

人が感じないほどの微かな揺れを計測し、地盤の揺れやすさを計測する「微動探査」は、
これからの地震対策として大きな注目を集めています。
微動探査の果たす役割と今後の展望について、それぞれの立場から熱く語っていただきました。

いつまでも安心して暮らせる家は、そのほとんどが場所選びで決まると思います。テクノロジーの進化によって、地盤の特性を誰もが知ることができる時代になりました。これからは、地盤から考える『安全』という不動産価値を知ることが重要となるでしょう」と熱弁をふるう山本。

「地震eye®」の登場が、
微動探査を劇的に進化させた

先名:微動探査の研究が始まった1990年代の測定機械といえば重さが100kgもある巨大なもので、計測に7時間以上、データ解析に1週間以上という膨大な時間がかかっていました。そこで、防災科学技術研究所ではGPSやバッテリー、小型センサーなどを組み合わせることで装置を小型化し、作業時間も15分程度にまで短縮。データ解析にも最新の手法を取り入れ、3分ほどで結果が受け取れるなど、サイズ・性能ともに劇的な進化を遂げました。

山本:そうした多くの技術革新が、現在の「地震eye®」へとつながっているわけですね。微動探査計の小型化と大幅な時間短縮は、地盤調査の現場でも大きな意味があります。従来型の地盤調査「SWS試験」には通常2~3時間かかるのですが、微動探査はその合間に完了できるほど非常に効率がよく、お客様にもご提案しやすい。当社の調査実績も増加し、たくさんのデータが収集できています。

先名:その手軽さこそ、私が装置の小型化・高速化にこだわった理由です。地下の状態は目に見えないため、そこが安全かどうかは、実際に測ってみなければわかりません。より広範囲の防災に活かすためには、同じエリア内でも、より細かく微動探査を行う必要があると考えました。
それを確信するきっかけとなったのが、2004年に新潟県で発生した中越地震です。現地の被害状況を調べてみると、わずか100mの範囲内に倒れた建物と倒れなかった建物が見られ、このばらつきが地盤の違いによるものだと考えました。地震の被害を未然に防ぐためには、できるだけ多くの地点を計測する必要があり、解析結果も瞬時に出したい。しかし当時の計測機械では時間がかかりすぎて実現できませんでした。そのもどかしい想いが、さらなる研究へと駆り立て、ピンポイントで手軽に計測できる微動探査計の開発につながったのです。

山本:地盤ネットが微動探査を推進しているのも、震災の教訓からです。2011年の東日本大震災の後、被災エリア内の当社調査済み物件を調べたところ、被害件数はゼロ。当社サービスの信頼性の高さを証明する結果となりました。しかし、2016年の熊本地震では3ヵ所の被害が出てしまった。従来の調査手法では「良い」と判定が出る場所でしたが、「地震eye®」で詳しく調べると、障害物による高止まりや地形・地質の問題が原因だとわかりました。こうした「隠れた危険」も、微動探査をセットで実施すれば見える化できますし、被害も予防できる。同じような被害を二度と出さないためには、従来の地盤調査「SWS試験」だけでなく、微動探査を組み合わせる必要があると痛感した経験でした。

微動探査を、
千年に一度の地震に備える防災に

先名:戸建住宅の敷地ごとに微動探査を行うことは、防災の面でも非常に意味があります。国のハザードマップを基準とすると、250m四方のメッシュで区切ったエリアを100万ヵ所調査することで全人口の約97%をカバーすることができます。微動探査を全国100万ヵ所で実施すること。それが、ひとつの目標です。

しかし、250mメッシュというエリア分けは、さまざまな特性の地盤が入り交じってしまうくらいの広さとなるため、新潟の例のように、同じエリアの中で倒壊する家としない家が出る可能性も十分あり得ます。その家が地震に強いかどうかを知るためには、敷地単位での調査が必要であることは、中越や熊本の震災から学んだ事実です。

山本:私たち地盤ネットが行った微動探査のデータは、国に提供され、より詳細なデータとして活用されるシステムができていますね。私たちが行う調査はほとんどが戸建の敷地単位ですから、先名先生がめざす詳細な調査結果を得ることができます。それが地域の防災に役立てられることにも大きな意義を感じます。

先名:地盤ネットのような民間企業が活躍することで、より詳細でより多くのデータをスピーディに集めることができますし、他のハザードマップ同様、誰もがその情報を見ることができます。そして、より精度の高い情報をベースに地震研究も進み、全国の地域防災に役立つことでしょう。
さらに、この動きは国内だけにとどまりません。ISO(国際標準化機構)を通して、日本が先頭に立って微動探査を標準化する動きも活発化しています。

山本:当社にも台湾やメキシコなど大きな地震被害を経験した地域からのニーズがあり、話し合いを進めているところです。微動探査への期待の大きさを実感しています。
微動探査を行うようになって感じるのは、地震に対する備えがより具体的になったことです。「揺れやすい」「危ない」といった曖昧な表現ではなく、明確な数値としてお客様にご提示することができ、地盤の揺れやすさを考慮した家づくりにも大いに役立ってきました。
そして今年、当社は本格的に住宅事業へ進出します。これからは微動探査による「揺れやすさ」のデータが、土地のスペックのひとつとなり、それを基準に選ぶことが当たり前になる。その上に、地盤特性に最適化した建物をつくることで、千年に一度の大地震にも負けない「千年住宅」をつくることができる。私はそう信じています。

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